新型コロナ対応緊急応援助成・第2次助成団体訪問取材②(特定非営利活動法人アスリード、TIEトマトマの会)

Ⅰ.特定非営利活動法人アスリード

共同代表理事 武政さん

共同代表理事の武政祐さんは、大学を卒業後、一般の企業に就職しましたが、そこで挫折した経験からキャリア教育の必要性を痛感したことを契機に、アスリードの前身である、株式会社さくらノートに入社して、中高生のキャリア教育のコーディネートに係るようになったとのことです。以下は、武政さんの書かれたこれまでの経緯です。

社会が豊かになり成熟した一方、自己肯定感が低く自信を持てない若者が多く存在します。「やりたいことが見つからない」「将来に希望を持てない」という悲観的な声も多く聞かれるようになりました。このような状況の一因は、若者たちが社会に出るまでの期間で「何のために働くのか」「どんな仕事に就き、どう生きていくか」ということについて学び、自分自身の進路や将来を考える機会が少ないことが挙げられます。これまで、前身となる株式会社さくらノート(平成24年~平成31年)では、県内の中学校・高等学校を中心に、イキイキと働く大人たちの姿を取材し、働く意義と喜びを伝えるキャリア教育支援冊子『さくらノート』(Vol.1~19)を発行し、学校から相談を頂き、職業講話や職場体験のコーディネートなどキャリア教育のサポートを行ってまいりました。しかし令和元年7月株式会社さくらノートが倒産、キャリア教育を横浜の地から無くしてはならないと残った従業員3名とこれまで支援していただいた地域企業の皆様でNPO法人アスリードを同年9月に設立いたしました。現在は地元企業より賛助会費をお預かりし、無償で中高生へキャリア教育を届ける非営利活動を行っています。(新型コロナ対応 緊急応援助成申請書、活動の経緯より)


現在、アスリードでは、キャリア教育支援冊子『さくらノート』の後継紙「みらい百花」を創刊し、横浜・横須賀・川崎・相模原・町田にある中学校・高校、約430校65,000人の生徒に配布し、学校の総合学習の教材として活用されています。

新型コロナ対応 緊急応援助成の使途は、新型コロナウイルスの影響で休校が長引き、授業の遅れにより。例年、総合的学習のなかで行われているキャリア教育(アスリードが提供するプログラム「みらいteacher」)である、職場講話、職場体験、インターシップの実施が困難であるため、学校と企業をオンラインで繋いだ、出前授業、社会見学を企画、実施するための費用です。

今回は、7月28日に横浜中学校で行われた、ライフデザイン教育「体験型職業講座」の様子を取材しました。当日は、校内で8つの教室に分かれて、県内の8つの企業がオンラインによる講話を行い、仕事の体験や講師との対話を通して、将来の職業や働く意味を考えるきっかけとするプログラムで実施されました。

取材を通じて、キャリア教育は、学校の中だけでできるものではなく、学校の外にある地域社会の力が必要不可欠であり、地域や企業、そして人(大人や若者)が一体となって取り組む活動であることを実感しました。

(取材:事務局 土屋誠司)

Ⅱ.TIEトマトマの会

代表の山縣さん

TIEトマトマの会は、1984年、中国帰国者支援の会の中国残留孤児の子ども達の教室として発足した活動を前身に、2009年、前「ユッカの会OB」活動のひとつである「トマトマ教室」を名称変更し「TIEトマトマの会」として、在日の外国人の中高生学習中心のボランティアによる会として運営を開始した団体です。

代表の山縣紀子は、幼少期に中国で過ごし、自身が外国人として暮らした経験や、戦争の中で感じた中国への想いから外国人へのサポート活動を始めたとのことです。

TIEトマトマの会では、外国人の中高校生を中心に、毎週日曜日の午後にボランティアの講師(現在、21人)によって、日本語や勉強をマンツーマンで教えています。また、学習活動以外でも交流会やキャンプ、セミナーなども開催しています。生徒は中国からだけではなく、様々な国や地域からの来日者となっています。また、講師のボランティアも学生、社会人、リタイヤした方などが担当しています。

通常の活動は、かながわ県民センターのフリースペース、もしくはカナファンスペースなど、室料のかからない場を使って定例教室を続けていましたが、この度の新型コロナウィルス影響により、会場の使用ができなくなったことにより、会場を労働プラザに一時移して活動を継続しています。また、今後の対応を視野に入れて、オンラインによるリモート学習の準備も進めており、8月より実施する予定となっています。今回の緊急コロナ対応助成では、これらの費用(会場費、リモート学習の準備)に充てています。


最後に、山縣さんに、トマトマの会のモットーについて伺いました。「来るものは拒まず、誰でも受け入れることを大切にしたい」、「それぞれの生徒に合った、指導をする」、「学校などでは言えないこと、聞けないことが解決できる、安心できる居場所でありたい」、そして「勉強を教えるのは子供たちであるが、その子供たちの両親も含め安心できる場、相談できる場でもありたい」とのことでした。

(取材:事務局 土屋誠司)