助成団体訪問「NPO法人GOOD JOB(第10期福祉たすけあい基金)」

 穏やかな春の午後、NPO法人GOOD  JOBを訪問した。港南台と洋光台の中間にある閑静な住宅地の一戸建てに、3名の女性たちが集まってくる。明るく迎えるのはNPO法人GOOD JOB代表の望月直子さんと息子さん。集まった3人は大きな自然木のテーブルにつき、深緑、黄緑、黄色の折紙をはじめた。「一回休んだらわからなくなっちゃった」「3枚ずつ先に出しておくと後で楽よ」などといいながら、折っていく・・そしてつなぐ。何を作っているのか・・・やがてわかった。腹ペコ青虫だった。この折り紙細工は、神奈川県立子ども医療センターのボランティア団体オレンジクラブに届けられ、センターのオレンジボックスで販売され、ボランティア活動の活動費となる。
 財団が助成したのは、この団体の特殊なサイズの赤ちゃんや障がいのある方用の衣類作り活動だ。具体的にはミシン購入費用。望月さんはダウン症で心臓疾患のある娘さんの治療のため、オレンジクラブの活動に参加するなかで、NICU(新生児集中治療室)の赤ちゃんたちが、小さいあまりジャストサイズのベビー服がなく、裸で保育器にいることを知った。また様々な障がいに合う洋服がないことに気付き、スペシャルニーズのある人が、買いやすい価格でスペシャルな服を提供したいと活動を始めた。
 いま月2回リクエストに応える形で、洋服作りを行っている。ベビー服は医療センターに入院する子どものお母さん達と一緒に作る活動にひろがり、交流につながっている。スペシャルニーズの洋服はハレの日(ピアノの発表会とか、結婚式とか)に着る洋服を中心に作っている。望月さんの呼びかけに、有名デザイナーの下で働いていた方がパタンナーとして参加し、アマチュア3人が指導を受けつつ作る。しかし、ここで強い助っ人が登場する。昭和期のお母さんたちの中にはミシンが上手な人が多いのだ。専業主婦の多かった時代、お母さんが子どもたちの洋服を手づくりしていたり、内職でミシンを使っていた人が意外に多いことに気付く。いまそういう人たちがひとり暮らしの高齢者となって近くに住まわれていた。ミシン、縫い物が、高齢者の居場所となり、社会貢献となり、いくばくかの謝金となり、地域のつながりになる・・そういうありようを目指して、望月さんの活動は続いている。
(取材:地域活動連携コーディネーター 荻原 妙子)

助成団体情報
NPO法人GOOD JOB (2014年設立)
活動内容
◆ 地域の仕事をする障害者支援事業、商店の配達・軽作業を受注し障がい者の仕事に繋ぐ
◆ 障がい者の日常生活支援事業 横浜市の移動介護・通学通所支援事業受託
◆ 福祉有償運送による障がい者の移動・通学・通所支援
◆ 障がい者の地域交流支援
◆ 障害者のライフプランの作成、カウンセリング
財団からの助成 (第10期福祉たすけあい基金:2018年)
◆ 助成した活動
 地域に増えている独居高齢女性のサロンとしてのスペース開放
 地域住民によるスペシャルニーズのある人の洋服作り
◆ 助成内容
 職業用ミシン購入費用、パターン制作費用 
◆ 助成金額
 399,750円