2015年12月8日
報告
生き活き市民基金
12月7日(月)に静岡県で活動している「NPO法人フードバンクふじのくに」(以下ふじのくに)を訪問しました。「ふじのくに」は2014年5月発足した10団体から成るコンソーシアム(共同事業体)で、設立の中心になったのは静岡県労福協とNPO法人POPOLOです。今回の視察・取材には金指敦之さん(労福協専務)・鈴木和樹さん(POPOLO事務局長)のお二人にお世話になりました。
労福協の中でフードバンクの研究を始めたのは2009年、同じ年にPOPOLOの鈴木さんと労福協との出会いがあり、双方の思いを5年間つなげることによって、全国でも稀な共同事業体方式で「ふじのくに」を設立したといいます。生活困窮者支援を実践し、行政(福祉課・市民生活課)・社協とのネットワークを培ってきたPOPOLO、労働行政を始め行政の様々な部署と日常的関係を構築している労福協が、お互いの強みを活かし、連携し、ひとつの目標に向かって協働できたことが、発足2年で県内のほぼ全域に展開(35市町中32市町)できている理由だということです。
「ふじのくに」の特徴は、フードバンクの「中間組織」「中間支援」に徹していることです。支援者(食料提供者)と受益者の間にあって、両者をコーディネートし、行政や企業・市民というステークホルダーとの協働を促進する役割を担っています。生活困窮者と向き合う福祉施設、生活困窮者支援団体、福祉事務所(12市町)、社会福祉協議会(24市町)等の受益者団体を、いわばエンパワメントする役割を果たしています。
午後3時過ぎに「ふじのくに」の事務所兼倉庫を訪問しました。静岡駅から歩いて20分ほどの浅間神社のすぐ前、商店街の一角にあります。事務所ではPOPOLOの職員で「ふじのくに」の専従スタッフを務めている金澤一輝さんから説明を受けました。夕方ということもあり、宅急便の集荷が終わったばかりで、梱包された食品パック(単身者2週間分)は12/11事務所に引き取りに来る検察庁と掛川市の2つだけでしたが、事業開始2年目の今年は月100件くらいの申し込みがあるということでした。
「量よりも質」と当面の課題や目標について、ふじのくに事務局長の鈴木さんは語ってくれました。生活困窮者支援の現場の活性化に寄与し、少なくとも食料を食べられない人を無くす、そのことが大事であって取扱量は目標ではないと鈴木さんは言います。またコンソーシアムという組織論・事業論が大事で、相互牽制ある組織をつくることで、独りよがりを排することができ、持続可能性・発展性を高めることができると鈴木さんは力説します。
今回協力いただいた金指さん、鈴木さんのお二人の持続する情熱に敬意を表し、実りある視察となったことをこの場を借りて感謝します。
ふじのくに事務所兼倉庫の紹介(PDF)