2025年1月1日
(公財)かながわ生き活き市民基金 理事長
荻 原 妙 子
【減らない子どもの困難と国の対応】
1994年の国連子どもの権利条約に批准以降も、子どもの貧困、年間500人超の子どもの自殺、34万人超の小中不登校…、顕在化する子どもの困難な状況に対し、2022年子ども基本法、2023年4月〈こども家庭庁〉設置に続き、12月「子ども基本法」にもとづく「こども大綱」が閣議決定されました。子ども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送るための基本的方針です。①子どもは権利の主体、②当事者としての視点、③ライフステージに応じた切れ目ない対応、④幸せな状態での成長、⑤生活の基盤の安定、⑥関連団体の連携重視、が柱となっています。そして2024年6月に「こどもまんなか実行計画2024」が当事者意見も踏まえた「こども政策推進会議」により策定されました。計画中「こどもの貧困」対策では次のように書かれています。
この瞬間にも、貧困によって、日々の食事に困るこどもや、学習の機会や部活動・地域クラブ活動に参加する機会を十分に得られないこども、進学を諦めざるを得ないなど 権利が侵害された状況で生きているこどもがいる。こどもの貧困を解消し、貧困によるこうした困難を、こどもたちが強いられることがないような社会をつくる。
【子ども食堂1万箇所】
2024年全国の子ども食堂が1万箇所を超え、公立中学校数を上回ったと全国子ども食堂支援ネットワークむすびえが発表しました。神奈川県には把握されて子ども食堂は594箇所で、地域の活動として拡がってきています。県内公立小学校851校のうち、子ども食堂のある小学校区は112と報告されています。まだまだ充足率は充分ではありません。物価高騰による運営資金の不足は続き、支援する地域の力がさらに必要です。
【協同組合の子ども支援助成】
市民基金は基本プログラムの「福祉たすけあい助成(生活クラブ組合員寄付)」のほかに、2016年子どもの貧困をテーマとするフォーラムを開催し、2020年コロナ緊急応援助成(子ども食堂やフードバンク・学習支援)を経て、特に子どもを支援する助成を呼びかけ、2024年も「ユーコープ子ども応援助成」、「JA横浜子どもの未来支援助成」、「子どもの貧困に立ち向かう市民活動応援助成」を行なっています。「ユーコープ子ども応援助成で」は、生活協同組合ユーコープの書き損じはがき等の寄付による子ども食堂への支援、「JA横浜子どもの未来支援助成」は農業協同組合横浜による無料学習支援への助成です。「子どもの貧困に立つ向かう市民活動応援助成」は市民寄付による助成です。食支援では県内12の非営利団協同体による(公社)フードバンクかながわとの連携協力にも取り組んでいます。
【2025国際協同組合年の柱に子どもの応援を】
国連は「社会開発における協同組合に関する新たな決議」を採択し2025年を2回目の国際協同組合年としました。1回目の2012年は東日本大震災の翌年となり、復興支援における協同組合間連携も活動の柱の一つとなりました。
今、社会で様々な困難な状況にある子どもたちへの支援を、国際協同組合年の柱の一つにしようではありませんか。
市民基金では、食・学習等の場を開く団体への助成プログラムを継続・新設する寄付を募集しています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
追伸
無料学習支援への共感をひろげ、地域連携での課題解決を目指し、「子どもの今を支え、『希望ある未来』につなげる市民活動応援フォーラム」を2月8日新横浜オルタナティブ生活館で開催します。示唆に満ちたフォーラムになると期待しています。ご参加お待ちしています。
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